
複雑なプロジェクト環境におけるアジャイル変革
企業を従来型の組織からアジャイル組織に変革することは、簡単なことではありません。これは、正確に予測できる結果を生み出すわけではない複雑なプロセスであるためです。文化的および心理的な要因に加えて、組織的または方法論的な変化も企業に影響を与えます。
変革を成功へ導くうえで、つい陥りがちな落とし穴がいくつもあります。私たちがアジャイル変革を実施する中で、非常に頻繁に遭遇する以下のような課題があります:
- 経営陣や役員会からの支援が乏しい、または全くない
- 上司からの命令だけでアジャイルアプローチを導入しようとする
- ITやソフトウェア開発部門にのみ、アジャイルを実施
- アジャイルアプローチと互換性のある価値観が会社に定着していない
- 組織が技術的にアジャイルアプローチを実施可能な状態にない
- 変革に割り当てる時間が極端に少ない
弊社は、アジャイル変革の初期段階で企業を支援し、こうした問題を初期段階で解消できるようにしています。そのために、既存のアジャイル価値観をどれだけ実装できているかという観点から、組織の現状の360°評価を実施します。これまでに20件以上の大規模プロジェクトを国際的企業で支援してきた経験を基に、主に以下のアプローチを採用しています:
- 経営陣、開発チーム、それからアジャイルチームと協働する各専門部署向けのアジャイル手法導入ワークショップ
- プロダクトオーナーおよびスクラムマスター向けのカスタマイズされたトレーニング
- 経営陣、プロダクトオーナー、スクラムマスターへの個別コーチング
- 経営陣および開発チーム向けに、アジャイル手法の付加価値を可視化する趣味レーション。
アジャイル変革プロセスにおいて、私たちは率直かつわかりやすいコミュニケーションを心がけ、長期的な成功を目指した提案を行います。ただのコーチングや単発のトレーニングにとどまらず、組織全体の持続的な改善を目指しています。
企業にスクラムなどのアジャイル手法を導入する際、プロセスが正常に機能していても、品質問題、従業員のコミットメント不足、チームパフォーマンスの向上が必要な場合などの症状がしばしば発生することを常に意識しています。
アジャイル変革とは何か
アジャイル変革とは、アジャイルの原則 ―早期かつ定期的な成果提供、そして大規模な課題の識別と是正ー から始まります。このプロセスは、パイロットプロジェクトや実験から始まり、最初のステップで失敗したり、完全には正しい方向ではなかったりすることも想定ないです。結果を「永続させなければならない」と考えずに試行できれば、人はより気楽に挑戦しやすくなります。そのため、アジャイル変革では、「まずやってみる」「うまくいかなければ学んで修正する」という姿勢が根幹となり、組織全体が実験と改善を重ねやすい環境をつくることが重視されるのです。
プロジェクト単位で仕事を進める企業・組織においては、アジャイル変革とは、個々のチームだけでなく、組織全体がアジャイルな働き方へと移行することを意味します。組織内の個々のチームがScrumなどのアジャイル手法を用いてうまく機能している場合、それをプロジェクト間や部門間、さらには大規模プロジェクトにまで適用できるかどうかという疑問が生じます。
アジャイルスケーリングアプローチは、この課題に対する実績ある解決策を提供します。これらは、スクラムがチームに提供するものを組織レベルで実現できるようになります。
- チーム内での作業を調整するアジャイルプロセス(例えばスクラム)を基盤としています。
- 複数のアジャイルチームを擁するより大きな組織単位において、共通の目標に向かって連携して取り組む為の調整手段を提供します。
- 各部門の戦略や目標を相互に連携させるための調整メカニズムを提供し、それによって戦略レベルの意思決定がチームの具体的な業務へと継続的に流れる仕組みを実現します。
アジャイル変革は、単なる手法の導入にとどまらず、組織全体の文化や戦略的目標を支える基盤となるものです。そのため、組織のすべてのレベルで一貫した取り組みと実験的な姿勢が求められます。
アジャイル変革のロードマップ
企業がアジャイル変革を決定した後、次に問われるのは「どのように始めるか?」という実行のステップです。どのような点を考慮すべきか?そしてどのような人材が必要か?企業ごとに状況や課題は異なる為、私たちはそれぞれの個別課題に対応出来る様、アジャイル組織の為のモデルを策定しています。このモデルは主にScaled Agile Framework (SAFe) に基づいています。以下のステップに基づき、お客様毎にカスタマイズされた変革プロセスを設計し、確実なスタートを保証します。
マネジメントの関与
- アジャイル変革の最初のステップは経営陣向けのワークショップです。この段階の目的は、アジャイルに関する理解を深めてもらうと同時に、経営層自身がアジャイルな思考と行動を率先して実践することを目指します。成功する変革には、『変革をリードすること』こそが、成功に導くための正しい姿勢です。変革の責任は委任できるものではなく、経営陣自身が主体的に担う必要があります。
アジャイル領域の特定
- 経営陣のコミットメントを得た上で、アジャイル化を開始する対象領域を特定します。この段階で、各領域の変革をサポートする変革チームが編成されます。
- このチームは、将来のアジャイル体制におけるマネージャーやキープレイヤー、そして弊社のコーチによって構成されます。変革チーム自体もアジャイルに活動し、すべての必要なステップを優先順位を付けたバックログで管理しながら、アジャイルチーム全体の枠組みや条件を定義していきます。
枠組み条件と働き方の確立
- 変革チームは、計画されたスコープをエピック単位に分割し、優先順位付けを行います。
- エピックは「複数のチームによって短期間で完全に実行可能なより広範な機能的スコープ」を意味します。これは、アジャイル様式を実践するための演習であり、将来のチーム構成の検討材料としても活用されます。
アジャイルの役割に関するトレーニング
- クロスファンクショナルなチームを構築するため、関係する部門のすべての従業員を対象に、アジャイル手法に関するトレーニングを実施します。
- その後、従業員自身がワークショップの中でクロスファンクショナルチームを編成し、プロダクトオーナーを選出します。この際、変革チームは、今後のアジャイルチームが取り組むべきエピックを提示し、それをチーム編成の指針とします。。
アジャイル導入の開始
- アジャイルチームが編成された後、各チームでキックオフミーティングを実施し、ミーティングでは、個別の質問や条件の確認が行われます。
- キックオフ直後、すぐに最初のスプリントが開始され、弊社のスクラムマスターがチームに寄り添いながらサポートを行います。
継続的な見直しと調整
- アジャイルサイクルを継続的に実施することで、チームはアジャイルな働き方自然に身につけていきます。
- レトロスペクティブ(振り返り)を通じて、各チームの継続的な改善を促進します。
- 「インスペクト&アダプト(精査し、適応する)」という原則のもと、「素早く始め、素早く学び、素早く改善する」ことが基本です。
考えられるアプローチはSAFeとLeSSです:
変革を始めたいとお考えですか?
最初のワークショップのサポートが必要な場合は、 ぜひお問い合わせください。弊社は、様々なアジャイルフレームワークにおいて豊富な経験を有しており、御社に最適なソリューションを共に設計致します。